自分の性格があまり好きではない。性格を変えられたら、毎日がもっと楽しくなるだろう、などと考えたことはありませんか?
仕事もプライベートも順調な人を見ると、つい自分と比べてしまいます。もっと明るくて積極的だったら、人に好かれるだろうと、なんとか自分の性格を変えられないものかと考えてしまいます。
大半の人は、自分の性格が大好きとは言わないでしょう。どこか嫌いな部分、直したいと思う部分を持っていると思います。「分かっていても直せないのが性格。」とは、本当なのでしょうか?
性格とは何か?
性格については、心理学的にも様々な見解があります。その人を特定するものとか、性質的に区分けするものとは、言い切れないようです。一般的には、その人の言動に表出する、その人独自の一貫した感情や意志の傾向と言えるかと思います。
性格は目に見えませんので、とても漠然としていますし、概念的なものです。その人を表す傾向と考えるならば、その元になっているのは、一体なんでしょうか?
人の性格は、生まれつきの気質を核にして、4層で構成されています。そして、外の層ほど変化させやすいのです。それでは、4層を見てみましょう。
- <気質> 遺伝的要因が大きく、環境や経験に左右されず、努力しても変化しない。
- <気性> 幼少期に、養育者や身近で大きく影響を与える人、環境などにより形成されるもの。
- <習慣的性格> 気性を基礎として、その環境の中で身につけた工夫や、手段などを反復することで、習慣化し形成された個性。
- <役割性格> 会社や学校、夫婦、親子、家族、友達などの人間関係の中で適応される。
性格の大元になっているのが、気質です。気質は遺伝的要素が殆どだと考えられていて、変えるのが難しいと言われています。赤ちゃんに見られるように、よく笑う子、よく泣く子、おとなしい子、動き回る子などの傾向は、気質が原因と考えられています。更に、体質や遺伝も合わさって、その人の気質になっているとも考えられています。
気性は、その形成段階の環境を、本人が選択することは非常に難しいのですが、大人になって、しっかり意図をして実践することで、変えることは可能だと思います。
習慣的性格は、自身の生活の中で意識的、あるいは無意識的に関係なく、つい行ってしまう行動や考え方に影響されています。ですから、意識をすることで変えることが可能です。
役割性格は、時や場合や状況によって、瞬時に変わったり変えたりしています。仕事をしている自分と、家族と過ごしている自分、友人と一緒にいる自分は、違いますね。このように、その場や状況に適応するように、上手に変えられます。
性格を変えるには?
あなたはどのような性格なのか、それをあなたご自身が知る必要があります。つまり、あなたの性格特性を知れば、何を変えればいいのかが分かりますね。特性とは、個人が様々な状況の中で、一貫して示す性格の傾向のことです。例えば、優しさ、朗らかさ、素直さ、気の強さなどです。
<実践1>自分自身を知る
私たちが現実として認識している世界は、その人が培った経験を通して理解しています。つまり、それぞれの独自の経験というフィルターを通した世界を、現実だと認識しているのです。このフィルターは、経験によって身についた考え方や捉え方が基になって作られていますので、歪められた現実によって、不要な苦しみを味わうこともあります。
自分のことは自分が一番分かっていると思っていますが、フィルターを作っている考え方の癖には、意外に気づきにくいものです。
物事の捉え方は無数にあります。捉え方により、心の自由度が変わっていきます。何でもポジティブに捉える人。何でもネガティブに捉える人。さまざまな角度から捉えられる人など、同じ物事に対しても捉え方によって、その後の方向性に影響を及ぼすことは、容易に想像できますね。
心の自由度が低くなると生き辛くなり、逆に心が自由だと、毎日が軽やかで良好な人間関係を築けますし、楽に生きられますね。
それでは、物事の捉え方のパターンを見てみましょう。
1. 「0か100」と捉えるパターン
中間がなく、白黒はっきりさせる思考パターンです。物事が完璧にできていない場合、その状態をゼロと評価する傾向にあります。7~8割できているにもかかわらず、100%でないと全然できていないと評価します。
2. 心のフィルターを持っているパターン
何か1つでも良くないことが起きると、「うまくいったためしがない。」「どうせ私の人生は、こんなものだ。」と、出来事の肯定的な側面を無視するパターンです。
3. ネガティブに執着するパターン
良くないことが1つでもあると意識がそれに固定されて、良い材料を見つけようとせずに、他を無視します。良いことを見ようとしないで、悪いことだけに執着してしまうパターンです。自分だけが感じている駄目な自分を、証明してくれる人を探し、わざわざ自己評価を低くする傾向にあります。
4.マイナス化する思考パターン
単に良いことを無視するだけでなく、全てを悪い出来事にすり替えてしまうパターンです。肯定的な側面の価値を引き下げ、決して気分が軽やかに晴れないような状態を継続します。
5. 結論が飛躍し悲観的になるパターン
根拠もないのに悲観的な結論を出してしまう思考パターンです。「この病気は決してなおらない。」と、先読みを誤り、事態は確実に悪くなると決めつけて、いつも悲観的な考え方を選択します。
6. 拡大視と過小評価のパターン
短所や失敗を実際以上に大きく捉え、長所や成果、成功を実際よりも過小評価してしまう思考パターンです。頑張って達成したことも、特に大したことではないと、自分の成果を素直に受け止めません。
7. 感情のまま言動するパターン
その時の感情で、出来事や事実を決め付けて、感情のままに言動してしまうパターンです。「待ち合わせの時間に5分遅れて来たから、きっと私と会いたくなかったに違いない。」というように、自分が感じたことを、ネガティブなことに繋げて捉えます。
8. ~すべき思考パターン
~すべきと、強迫的に考えてしまうパターンです。自分の中で、一般常識以上に厳しいルールを作って、自分や相手を追い込んでしまいます。
9. レッテルを貼るパターン
自分自身に否定的なレッテルを貼ってしまうパターンです。私は人と話すのが苦手な性格だから、友だちはできない、というようなネガティブなレッテルを貼り、自らでその傾向を強めます。
10. 自分のせいにするパターン
お茶会が盛り上がらないのは、楽しいお話ができない私のせいだ、というように、自分に責任がないような場合でも、自分のせいにするパターンです。
あなたに該当する思考パターンはありましたか?ひとつだけでなく、いくつかのパターンを持ち合わせている方が殆どです。ご自身の傾向を知ることで、何に気をつければいいのかが明確になってきますね。
<実践2>理想の自分をイメージする
あなたの傾向を知ることができたら、次に、どのような人になりたいかをイメージしてみましょう。
憧れている人がいれば、その人のどの部分を真似したいのかを、ご自身に問いかけてみましょう。興味や関心を持って見渡すと、あのようになりたいと思う素敵な人が見つかります。興味や関心を持つというのは、見つける際のポイントになりますので、ぜひ試してみてくださいね。
ここでイメージする「どのような人」とは、習慣的性格のことです。性格を変えるというのは、習慣的性格を変えるという意味です。習慣的性格が変われば、人からの評価も変わってきます。そして、あなたご自身の心を深く感じられるようになれば、気性を変えることも可能になってきます。
<実践3>言動を変える
イメージができたら、そのイメージに近づくために行動、口調、表情、視線、行動範囲、ファッションなどを変えていきます。変えたばかりの頃は、すぐに元に戻りそうになりますが、意識して心がけ努力しましょう。それを何度も繰り返していきます。
今までのパターンがあなたの内側に、まだ、しっかりとした回路として存在している間は、無意識になると、その回路を選択してしまいます。ですから、意識して心がけることによって、新たな回路が形成されていき、そちらを選択するようになります。
そして、口癖にも注意しましょう。無意識で言っている「どうせ無理」「でも」「だって」「仕方ない」「つまらない」など悲観的な言葉や言い訳は、行動する前から結果を決めてしまいます。少しでも状況を良くするように、言い方を工夫しましょう。
例えば、「疲れた」を「よく頑張った」と言い換えてみたり、「つまらない」を「時間がある」などに変えるだけで楽天的になります。楽観的な言葉遣いを習慣にすれば、その通りの結果に結びついていきます。
性格を変えたいと思うことは、すでに一歩踏み出した証です。始めなければ、何も変わりません。どうせ変わらないと思う人は、変われません。幸せな人生を送りたいのなら、願っているだけではなく、行動にうつしましょう。
「その人の性格は、その人の行動の結果である。」と、ギリシアの哲学者、アリストテレスは言っています。
ステキな未来に向けて、行動を変えることから始めてみましょう。