私は31歳の時に乳がん(トルプルネガティブ)になりました。抗がん剤治療しか効果がなく再発率と死亡率の高いといわれるがんでした。
その時私には、守りたい家族がありました。そして「幼い子ども二人が成長する姿をずっと側で見守りたい」と強く願った事を覚えています。乳がん治療を通じてたくさんの感情と向き合いました。目を逸らす事が出来ないくらい自分の中から湧き出てくる葛藤、恐れ、悲しみ、怒りなどネガティブな感情です。
そして約1年の抗がん剤、放射線治療、手術を経て病気が教えてくれた人生で大切な3つのこと御紹介します。がんになって「自分は死んでしまうのかもしれない」またはがん治療が終わったが「がんが再発するかもしれない」そんな恐れを感じている全ての方に送ります。
病気は身体からのメッセージ
人が生きると書いて「人生」。いろいろな出来事が日々目の前に現れます。目の前で繰り広げられる出来事に、驚いたり、腹を立てたり、悲しくなったり楽しくて微笑みあったりして人は人を通じて自分の中にある喜怒哀楽の感情をたくさんの感じ人生を構築していきます。
体験する全ては、完璧です。体験すること全てに無駄な事は一つもないと言われています。その全てを自分が創り出している。がんなどの病気もそのひとつです。その事実を思い出す時が来たようです。自分は何者で何をしたくて現在人間として生きているのか?
病気になる事は、今までの人生を振り返る貴重な機会です。これから自分は今までどう生きていたのか?今後はどうありたいのか?どう生きて生きたいのか?を見直す機会を与えてくれる重要なメッセージです。
病気を創っているのは自分
病気を創っているのは自分と聞いて「えぇ?うそ~」「そんなことないよ~」なんて感じる方がいるかもしれません。では「病気になる体験を選んだのは自分」そう書いたらどうでしょう。
人には大病なく生きている方と大病される方がいます。人は生まれる前に人生の設計図を立てて生まれてきます。自分が体験する事全てを本当は全て知っているのです。そして自分が一番乗り越えたいと感じる部分を設計に組み込んできています。
そのひとつに病気があります。「目の前に起こることは自分へのメッセージ」と考えると「病気は身体から自分へのメッセージ」であると考えられます。病気になる部位にもメッセージがひめられています。身体のどの部分が病気になるのかも持って来た課題がわかります。
私の場合は、左の乳がんでした。乳房は、母乳を作り栄養を与え子どもを育てる母性を代表する役割があります。
私は母性に対して課題を持っていました。子どもにとっては、ありのままのその子を受け入れ、認め、そして絶対的なやすらぎを与える力が母性です。無条件に愛される安心できる場所。それが母性です。
母性に問題がある人は・・・・
過干渉、無関心、条件つきの受容(条件付でしか愛されない)、威圧的、支配的になります。母性こそ愛のレッスンです。人は無条件に自分を愛する事を人生の課題にしている方はとても多いです。また育った家庭が厳しかった、甘えられなかった経験をした方が多くいらっしやいました。私もその一人です。
乳がん治療が始まってからいつも仕事と子育てで忙しかったあわただしい時間から一人になる時間を持つ事が出来ました。
病気になり一度立ち止まる機会があることで、仕事などから一歩離れ自分の中からあふれ出す感情を受け入れる時間を持つ事が出来ると思います。
病気が教えてくれた人生で大切な3つのこと事とは?
「自分が死んでしまうかもしれない」と感じ深い衝撃と同時に深い絶望を感じました。それから今まで自分がどれだけ幸せだったのか痛いほど感じました。
入りたいときにお風呂に入れる事、スーパーがあっていつでも買い物が出来る事、蛇口を捻れば飲める水や温かいシャワーが出る事も当たり前でないと痛感しました。何気ない日常のすべてが自由だったのかわかりました。
身体があって自分の意思で動かせる事も当たり前でない事がわかりました。そして今までやれば出来るのに理由をつけてやらない選択をしてきた事を深く後悔しました。
とてもシンプルですが、私が絶望した後に受け取った大切な3つのギフトです。
病気が教えてくれた人生で大切な3つのこと
①自分から逃げない事。自分をあきらめない事。
②当たり前の事なんて何一つとしてない。今あること全てに感謝する心。
③自分はとても恵まれていてとても幸せだ。
大切なギフトに気がついて早5年経過しました。今は不思議なほどがんが再発するかも・・・という恐れにとらわれなくなりました。
現在は自分が乳がんだった事を忘れてしまう時があるくらいです。今私はとても幸せです。仕事も家庭も友人関係も大切に丁寧に毎日を生きています。この記事に目を通してくれている方や私に関わる全ての方に心から感謝します。ありがとうございます。
最後にエピローグ~恐れを手放すレッスン(私の体験談)
がん治療が終わり、職場復帰した時の出来事です。私は、何度も何度も心の中から湧き出てくる拭いきれない深い恐れがありました。
それは・・・・「またがんが再発したら自分は死んでしまうかもしれない」という恐れでした。私はこの恐れが自分の中にある事に気がついていましたが、どうしたらいいのかわからず誰にも打ち明けずずっと隠し持っていました。
ある時、恐れを手放す機会が訪れました。他部署の方に「復帰したのね。おめでとう。」と話かけられました。その会話のやり取りの中で(詳しいことは忘れてしまいましたが・・・)その方が最後に私に言った言葉が衝撃的でした。
「あなたはもう余命いくばくないんだから無理しないでね」という言葉でした。数名近くにいましたが、私も含めて全員目が点になりました。私は時間が止まったように感じ衝撃でした。その後、時間が経ってから私は腹の底から怒りが湧き出てきたのを覚えています。
そして「私が一番恐れていることをみんなの前で言うなんて・・・信じられないあの人」という思いが後から後から溢れてきて涙が止まらなかったのです。何とか気力で定時まで頑張り帰宅後は、泣くだけ泣いて落ち込むだけ落ち込みました。
今まで出来なかった自分の感情を吐き出し感じきる機会を体験した事によってこの出来事の真の意味、真の恩恵を理解する時が来たのです。泣き疲れて放心状態で空間を見ていました。その時「はっ」とした瞬間が来て
「自分が現実を創っているんだった。ああそうかぁ?自分が一番恐れている事がこうして現実となり目の前に現れてくる。これって実はすごいことなんじゃないのか?!自分の一番恐れていることを浮き上がらせてくれ、対峙する機会を与えてくれている!ってこういうことか?!」
という思いが全身を駆け巡りました。私はその時、攻撃されるかわいそうな被害者から自分の痛みを受け入れる当事者へ変化したのです。
この出来事の本当の意味を知った時、自分のとらえ方が変わると出来事の意味が変わり人生が変わっていくと腑に落ちた印象深い出来事でした。その方には今でも心から感謝しています。
そしてどのような出来事からも学ぼうとする意識を保つ事が人間として生きている真の目的なのでは?と感じています。
マザーテレサが愛した、聖フランチェスコの「平和の祈り」の最後にある一文を思い出します。
最後に振り返ると、あなたにもわかるはず、 結局は、全てあなたと内なる神との間のことなのです 。あなたと他の人の間のことであたことは 一度もなかったのです。 「平和の祈り」・アッシジの聖フランチェスコより抜粋
最後までお付き合いいただきありがとうございました。